林伸伍先生(50回卒)は幼少より漢文、漢詩に親しみ、最新作「塵寰閑話録」の副題にも自作の漢詩から「練武尚文還學醫 顧思己往自嘲嗤」の語句を使っておられます。文学青年であられた先生が口腔外科の宇賀春雄教授の導きで父君の歯科医業を継ぎ、歯科医師となられておよそ半世紀、その間折にふれて発表される文章、講演、漢詩には先生の漢字に対する造詣の深さと情熱が見られます。
「推敲」という言葉の語源についても唐の賈島が「僧は推す月下の門」の句において「推」を「敲」に改めた方がいいかどうかと苦心する故事によるという説明だけでは飽き足らず、先生は原典の五言律詩を探求します。