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hobbyな人々


 このコーナーでは趣味の世界でも御活躍されているホビーな校友の先生方を紹介しています。
第3回は先頃「塵寰閑話録(ちりのよのあだしごと)」を上梓された
「漢字の達人」林伸伍先生です。

林伸伍先生

林 伸伍先生

50回卒

鳥取県歯科医師会会長


 林伸伍先生(50回卒)は幼少より漢文、漢詩に親しみ、最新作「塵寰閑話録」の副題にも自作の漢詩から「練武尚文還學醫 顧思己往自嘲嗤」の語句を使っておられます。文学青年であられた先生が口腔外科の宇賀春雄教授の導きで父君の歯科医業を継ぎ、歯科医師となられておよそ半世紀、その間折にふれて発表される文章、講演、漢詩には先生の漢字に対する造詣の深さと情熱が見られます。

 「推敲」という言葉の語源についても唐の賈島が「僧は推す月下の門」の句において「推」を「敲」に改めた方がいいかどうかと苦心する故事によるという説明だけでは飽き足らず、先生は原典の五言律詩を探求します。


 漢字への探究心は昭和57年に定価750万円と高価なため県下でも3台しかなかった国産第一号のワープロを県歯に導入されたことにも表れています。東芝がワープロの製造を中止すると発表したときには製造の継続を願って社長に手紙を書いたほどです。その後の幾多のワープロ遍歴の後、先生はWindowsと並行して18万字の各国文字(英語、フランス語、ドイツ語はもとより中国簡体字、繁体字、韓国漢字、タイ文字はてはトンバ文字まで)を扱える「超漢字」に行き着かれました。

 研究会(http://www.btron-club.org/)にも入会されていることです。「超漢字」は世界のコンピューター制御家電のOSとして圧倒的シェアーを占めるTRONの開発リーダーである坂村健東大教授が推進しているBTRONを使ったワープロ、画像ソフト、メールソフト、基本ブラウザ、電子手帳、表計算ソフト等の統合ソフトです。考えてみれば漢詩に造詣の深い先生が「超漢字」に興味をもたれたのは当然のことでしょう。

 「超漢字」は現在「超漢字V(ブィ)」にバージョンアップされ、VMwareというミドルウェアーを介する形でWindows上で動作するようになりました。これによって従来対応する周辺機器が少ないという欠点が改善されました。ただしWindowsの動作は多少不安定になるようです。またWindowsとのデータのやり取りが制限つきではありますが行えるようになりました。

 
↑青春時代
 先生の言葉に対するこだわりは漢字だけに止まりません。アメリカ生まれの「ベースボール」を「野球」と訳したのは俳人の正岡子規であるということが広く言われているが、これは誤りで正しくは明治27年頃に中馬庚という旧制第一高等学校のOBが「野球」と命名したのが最初であると先生は指摘する。正岡子規は随筆や俳句・短歌で見る限り、「ベースボール」という言葉の方を多く使っている。子規の本名「昇」を「野ボール」と当てて「野球」という雅号を用いたのが誤解されたのではないかとする。「野球」のルールは他の球技と得点方法がかなり異なり、「塁」を選手がどのように動いて、最後に本塁に到達するかが最重要である等の特徴から「塁球」と訳すのが正しいのではないかと主張される。真にもっともなお話です。


↑先生の自作の漢詩より

 




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