平成26年度診療報酬改定 疑義解釈・Q&A

疑義解釈 その1 3月31日  →Q&Aへ

【医学管理:歯科疾患管理料】

(問1)平成26年度歯科診療報酬改定において、患者又はその家族の希望に応じて、2回目以降の文書提供の時期を見直す取扱いとされたが、この取扱いは平成26年4月以降、改定後の管理計画書(別紙様式1、2又はこれに準じた様式)の備考欄に、患者又はその家族が文章提供について次回来院以降不要である旨の内容を記入した場合に適用されると考えてよいか。
(答)そのとおり。また、平成26年4月以降に、旧様式を用いた場合においても同様である。

【医学管理:歯科疾患管理料】

(問2)管理計画書について、全身疾患や患者の状態により直接記入できない場合又は家族の付き添いがない場合に限っては、主治の歯科医師名が代行して記入すると考えてよいか。
(答)そのとおり。この場合は、管理計画書の備考欄に「例:OO疾患のため、OOOOが代行記入」と記載する。なお、管理計画書に主治の歯科医師名が記載されている場合は、歯科医師名を省略しても差し支えない。

【医療管理:新製有床義歯管理料】

(問3)平成26年度歯科診療報酬改定において、有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合の取扱いが見直されたが、同月内に有床義歯の新製を行った場合に新製有床義歯管理料は算定できるか。
(答)算定できる。なお、この場合において、同月内に歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」は算定できない。

【医療管理:新製有床義歯管理料】

(問4)平成26年度歯科診療報酬改定において、新製有床義歯管理料の「2 困難な場合」に係る要件が見直されたが、9歯以上の局部義歯の装着については、9歯以上の局部義歯を新たに装着した場合又は既に9歯以上の局部義歯が装着されている場合のいずれも対象になると考えてよいか。
(答)そのとおり。

【在宅医療:歯科訪問診療料】

(問5)アパート、マンション等の同一建物に居住する2人の患者に対して歯科訪問診療を行った場合であって、2人のうち1人が20分以上、別の1人が20分未満の場合の取扱い如何。また、同一建物に居住する10人の患者に対して歯科訪問診療を行った場合であって、10人のうち9人が20分以上、別の1人が20分未満の場合の取扱い如何。

【在宅医療:歯科訪問診療料】

(問6)在宅かかりつけ歯科診療所加算については、在宅療養患者の定義に該当する患者であって、施設に入所している患者や病院に入院している患者についても対象となるのか。
(答)施設に入所している患者や病院に入院している患者は加算の趣旨から対象とならない。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料】

(問7)平成26年3月末までに新製有床義歯管理料、有床義歯管理料又は長期有床義歯管理料を算定していた場合であって、4月以降に有床義歯に関する調整や指導等を行う場合は、歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」は算定できるか。
(答)算定できる。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料1】

(問8)接食機能療法の治療開始日から起算して3月以内の期間における歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」の取扱い如何。
(答)摂食機能療法の治療開始日から起算して3月以内の期間にあっては、歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」は月4回を限度として摂食機能療法を算定した月と同月に算定できるが、摂食機能療法を算定した日は歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」は算定できない。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料1】

(問9)有床義歯の新製後に、同月内に当該義歯の修理を行った場合の取扱い如何。
(答)当該有床義歯の新製時に新製有床義歯管理料を算定した場合は、同月内に歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」は算定できない。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料1】

(問10)歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」は、当該舌接触補助床を自院で製作して装着した場合のみ算定対象となるのか。
(答)そのとおり。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料2】

(問11)歯科口腔リハビリテーション料2は、当該装置の調整を同日若しくは同月内に行っていない場合においても算定できるか。
(答)算定できる。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料2】

(問12)床副子の「2 困難なもの」に該当しない顎関節治療用装置は対象とならないと考えてよいか。
(答)そのとおり。

【処置:加圧根管充填処置】

(問13)加圧根管充填加算が加圧根管充填処置に見直されたが、取扱いは如何。
(答)加圧根管充填処置を実地した場合は、根管充填と当該処置を同日に算定し、併せて同日にエックス線撮影を行い、気密に根管充填が行われていることを確認すべきであるが、隣接する複数歯に対して根管充填を行い、後日にまとめてエックス線撮影を行う場合等の特別な理由がある場合は、根管充填及び当該処置の算定と異日にエックス線撮影を行い根管充填の状態を確認しても差し支えない。なお、この場合において、その旨を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

【処置:歯周病安定期治療】

(問14)歯周病安定期治療について、当該治療期間中に、抜歯等により歯数が変わった場合の取扱い如何。
(答)歯周病安定期治療算定時の歯数で取り扱う。

【処置:暫間固定】

(問15)平成26年3月末までに暫間固定を行っていた場合に再度暫間固定を行う場合の取扱い如何。
(答)平成26年3月末までに暫間固定を行い、装着した日から起算して6月を経過して必要があった場合は、1顎につき1回を限度として算定する。

【処置:歯周治療用装置】

(問16)平成26年度歯科診療報酬改定において、歯周治療用装置の要件が見直されたが、1回目の歯周病検査として歯周精密検査を行い、歯周基本治療が終了する前に歯周治療用装置を装着した場合において、当該装置の費用は算定できるか。
(答)算定できる。

【処置:フッ化物歯面塗布処置】

(問17)う蝕多発傾向者に対するフッ化物歯面塗布処置が医学管理から処置に項目が移されたが、平成26年3月にフッ化物局所応用加算を算定していた場合は、当該処置は翌月に算定できるか。
(答)平成26年5月末まで算定できない。

【手術:頬、口唇、舌小帯形成術】

(問18)頬、口唇、舌小帯形成術の取扱いにおいて、2分の1顎の範囲内における口唇小帯と頬小帯の形成術を同時に行った場合は、2箇所として算定するのか。
(答)そのとおり。

【手術:広範囲顎骨支持型装置掻爬術】

(問19)広範囲顎骨支持型装置掻爬術について、広範囲顎骨支持型装置及び広範囲顎骨支持型補綴物を装着した保険医療機関と異なる保険医療機関で当該手術を行った場合、当該手術を行った場合、当該手術は算定できるか。
(答)自院あるいは他院にかかわらず、広範囲顎骨支持型装置埋入手術の施設基準を届け出た保険医療機関において、広範囲顎骨支持型補綴に係る補綴物を装置した患者であれば算定できる。

【歯冠修復及び欠損補綴:通則21】

(問20)保険外診療で行われている歯科インプラント治療完結後に、全身疾患等の理由から顎骨内に残存せざるを得ない歯科インプラント上に有床義歯を装着する場合又は他の治療法では咬合機能の回復・改善が達成できず、やむを得ず当該歯科インプラントを鉤歯とする局部義歯を装着する場合の取扱い如何。
(答)当該治療を患者が希望した場合に限り、歯科インプラント治療完結後に一定期間を経た場合の補綴治療については保険診療として取り扱って差し支えない。その際に、当該治療を行った場合は、診療録に保険診療への移行等や当該部位に係る自費治療が完結している旨が分かるように記載する。なお、歯科インプラントを鉤歯とする局部義歯を装着した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に鉤歯の部位がわかるように記載する。

【歯冠修復及び欠損補綴:CAD/CAM冠】

(問21)保険医療機関が、医療器具として届け出たCADを設置しているA歯科技工所及び医療器具として届け出たCAMを設置しているB歯科技工所に対して連携が確保されている場合は、当該技術に係る施設基準を満たしていると考えてよいか。
(答)そのとおり。この場合は、届出様式の備考欄にCADを設置している歯科技工所名及びCAMを設置している歯科技工所名がそれぞれ分かるように記載(例:OO歯科技工所(CAD装置))し、当該療養に係る歯科技工所名を記載する。

【歯冠修復及び欠損補綴:CAD/CAM冠】

(問22)互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置とは、CAD/CAM冠用材料装着部の変更又は加工プログラムの改修(追加、変更)により、複数企業のCAD/DAM冠用材料に対応でくる装置も対象になると考えてよいか。
(答)そのとおり。

【歯冠修復及び欠損補綴:CAD/CAM冠】

(問23)保険医療機関内に歯科技工士が配置されているものの、歯科用CAD/CAM装置が設置されていないために、歯科用CAD/CAM装置を設置している他の歯科技工所と連携している。この場合は、保険医療機関内の歯科技工士及び連携している歯科技工所の歯科技工士の氏名をそれぞれ届出様式に記載する必要があるのか。
(答)保険医療機関内の歯科技工士名の記載は不要である。保険医療機関が連携している歯科用CAD/CAM装置を設置している歯科技工所名及び当該療養に係る歯科技工士名を記載する。

【歯冠修復及び欠損補綴:小児保隙装置】

(問24)下顎左側第一乳臼歯の早期喪失に対して下顎左側第二乳臼歯に小児保隙装置を装着した場合の傷病名(歯式)如何。
(答)下顎左側第一乳臼歯の喪失を示す傷病名(例:MT)のみを付与する。

【歯冠修復及び欠損補綴:コンビネーション鉤】

(問25)コンビネーション鉤について、鋳造鉤と線鉤の組合せであれば、維持鉤が線鉤で拮抗腕が鋳造鉤であっても算定できるか。
(答)算定できる。

【歯科矯正:植立】

(問26)歯科矯正用アンカースクリューが脱落した場合の再植立の取扱い如何。
(答)再植立を実施した場合の植立の費用は算定できないが、使用した特定保険医療材料は算定できる。

その2 4月4日

【うがい薬】

(問51)うがい薬のみ投与された場合、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料が算定できない規定となったが、治療目的でうがい薬のみ投与された場合は算定できると考えてよいか?
(答)そのとおり。処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料は算定できる。

【明細書無料発行】

(問52)届け出た改修時期を超えて改修しなかった場合どうなるのか。
(答)地方厚生(支)局長に改めて改修時期を届け出ていただく。

(問53)1,000円を超える場合の根拠については患者に説明する必要があるか。
(答)1,000円を超える場合は院内掲示が必要となるが、患者の求めに応じて説明を行うこと。

【消費税】

(問53)徴収する額がすべて変わることになるが、選定療養費分など各厚生局に届け出ている額については、改めて各厚生局への届出が必要となるか。
(答)各厚生局に届け出ている額について変更がある場合は、改めて届出を行う必要がある。

その4 4月23日

【医療管理:歯科疾患管理料】

(問1)平成26年度歯科診療報酬改定において、歯科疾患管理料の算定要件が見直されたが、同一初診期間内において、初回の歯科疾患管理料を算定して以降、当該管理料の算定がない期間が前回算定日から起算して4月を超える場合であっても、継続的な管理が行われている場合においては、引き続き、当該管理料を算定して差し支えないか。
(答)差し支えない。

(問2)平成26年度歯科診療報酬改定において、う蝕多発傾向者の判断基準が見直されたが、判定に関する取扱い如何。
(答)う蝕多発傾向者の判定基準の各年齢区分において、う蝕多発傾向者として判定された場合は、各年齢区分の期間において、口腔内状況の変化によらず、う蝕多発傾向者として取り扱う。

【手術:歯根端切除術】

(問3)当該療養に規定される手術用顕微鏡についてはどのような医療機器が対象となるのか。
(答)一般名称が「手術用顕微鏡」、「可搬型手術用顕微鏡」又は「架台式手術用顕微鏡」である医療機器が対象となる。

【歯冠修復及び欠損補綴:クラウン・ブリッジ維持管理料】

(問4)クラウン・ブリッジ維持管理料の事前承認の対象は、外傷、腫瘍等によりやむを得ず「隣在歯」、「隣在歯及びクラウン・ブリッジ維持管理料を算定したブリッジが装着された支台歯」のいずれかについて、抜歯した場合に限定されるのか。
(答)そのとおり

【歯冠修復及び欠損補綴:CAD/CAM冠】

(問5)CAD/CAM冠について、歯科用CAD/CAM装置を有していない歯科技工所の関わり如何。
(答)稀なケースと思料されるが、仮に歯科技工を行う場合は、歯科技工指示書により歯科医師がその旨を記載するとともに、届出にあたっては歯科用CAD/CAM装置を設置する歯科技工所を含め、全ての歯科技工所に関する内容及び当該装置を設置している歯科技工所(例:A歯科技工所:装置設置)が分かるように記載する。

(問6)CAD/CAM冠の施設基準の届出において、単なるスキャニングのみを行う装置をCAD装置として届出を行うことはできるか。
(答)できない。CAD装置とは、コンピュ―タ支援設計により歯冠補綴物の設計をおこなうためのソフトウェアが具備され、医療機器として届出が行われた装置をいう。

【歯科矯正】

(問7)平成26年度歯科診療報酬改定において、別に厚生労働大臣が定める先天性疾患等の範囲が拡大されたが、平成26年3月末日まで既に自費診療にて矯正治療を行っていた場合であって、平成26年4月以降においても継続して当該歯科治療を行う場合の取扱い如何。
(答)平成26年度歯科診療報酬改定において、別に厚生労働大臣が定める疾患については、平成26年4月1日以降に、歯科矯正セファロ分析、口腔内写真、顔面写真等による分析結果や評価を踏まえた上で、治療計画書を患者に提供し、歯科矯正診断料を算定した場合にあっては、当該疾患に係る歯科矯正治療は保険給付の対象となる。なお、この場合においては、診療報酬明細書の「傷病名部位」欄に該当疾患名を記載し、自費診療からの保険診療へ移行した旨を「摘要」欄に記載する。

 その7 6月2日

【基本診療料:入院基本料】

(問1)7対1入院基本料の施設基準の要件にデータ提出加算の届出を行っていることが追 加されたが、入院患者が歯科診療に係る傷病のみの保険医療機関の取扱い如何。
(答)データ提出加算の届出は必要ない。

【リハビリテーション:歯科口腔リハビリテーション料1】

(問2)口蓋補綴又は顎補綴を装着した患者に対して当該装置に係る調整や指導を行った場合の取り扱い如何。
(答)摂食・嚥下機能の改善を目的として、口蓋補綴又は顎補綴に係る調整や指導を行った場合は、歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床」の算定要件に準じて算定する。

【歯冠修復及び欠損補綴:咬合採得】

(問3)平成26年度歯科診療報酬改定において、CAD/CAM冠及び小児保隙装置が保険適用となったが、間接法で製作された場合については、咬合採得は算定できると解してよいか。
(答)そのとおり。

【歯冠修復及び欠損補綴:有床義歯】

(問4)平成26年度歯科診療報酬改定において、小児義歯の適応に、外傷により歯が喪失した場合が追加されたが、この場合において事前承認を必要とするのか。
(答)必要ない。

【診療報酬明細書】

(問5)歯科矯正の病名の記載方法如何。
(答)主要な咬合異常の状態の併せ、咬合異常の起因となった疾患名(別に厚生労働大臣が定める疾患又は顎変形症)を摘要欄に記載する。

(問6)歯冠修復物又は欠損補綴物の装着予定日から起算して1月以上患者が来院しない場合の記載について、「歯冠修復及び欠損補綴」欄の記載内容から装着物の種類が明らかに特定できる場合は、装着物の種類の記載を省略してよいか。
(答)省略してよい。

その8 7月10日

【経済上の利益の提供による誘引の禁止】

(問1)「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、
・保険医療機関は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。
・保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。
とされたが、趣旨如何。
(答)一部の保険医療機関等において、集合住宅等に入居する患者の紹介を受け、患者紹介料を支払った上で、訪問診療等を行っている事例があった。これらの事例については、
・特定の保険医療機関等への患者誘導につながる蓋然性が高く、患者が保険医療機関等を自由に選択できる環境を損なうおそれがあること
・患者を経済上の取引の対象としており、保険医療機関等による過剰な診療等につながり、保険診療そのものや保険財源の効果的・効率的な活用に対する国民の信頼を損なうおそれがあること等の問題がある。
保険医療機関等は患者が自由に選択できるものである必要があり、また、健康保険事業の健全な運営を確保する必要があること等から、今回の改正において、保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業者に対して、患者を紹介する対価として、患者紹介料等の経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引することを禁止したものである。

(問2)「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、患者紹介料の支払いが禁止されたが、禁止行為に該当するかどうかについて、どのような基準で判断されるのか。
(答)今回の改正により、基本的には、
① 保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業員に対して、患者紹介の対価として、経済上の利益の提供を行うこと
② ①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引すること
のいずれにも該当する場合は、禁止行為に該当すると判断される。
①については、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されているか否かで判断されるものである。
患者紹介とは、保険医療機関等と患者を引き合わせることであり、保険医療機関等に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えること、患者に保険医療機関等の情報を伝え、患者の申出に応じて、保険医療機関等と患者を引き合わせること等も含まれる。患者紹介の対象には、集合住宅・施設の入居者だけでなく、戸建住宅の居住者もなり得るものである。
経済上の利益とは、金銭、物品、便益、労務、饗応等を指すものであり、商品又は労務を通常の価格よりも安く購入できる利益も含まれる。経済上の利益の提供を受ける者としては、患者紹介を行う仲介業者又はその従業者、患者が入居する集合住宅・施設の事業者又はその従業者等が考えられる。
禁止行為に該当すると判断されることを避ける意図をもって、外形的には、経済上の利益の提供を患者紹介の対価として明示しないことも予想される。例えば、訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に上乗せされている場合、診察室等の貸借料に上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていると判断される場合は、 ①に該当するものとして取り扱うものである。
このため、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料・貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、患者紹介を受けており、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。同様に委託料・貸借料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託・貸借の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
集合住宅・施設に入る保険医療機関等を決定・制限することができる者が、保険医療機関等に対して診療又は調剤に必ずしも必要ではない業務委託・貸借を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料・貸借料が支払われている蓋然性が高いと考えられる。
②については、 ①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引しているか否かで判断されるが、保険医療機関又は保険薬局が、患者紹介を受けて、当該患者の診療又は調剤を行っている場合は、基本的には、②に該当するものと考えられる。なお、これについては、訪問診療の同意書、診療時間、診療場所、診療人数等も参考にするものである。

(問3)集合住宅の入居要件として、併設された診療所の月2回以上の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことは、健康保険法上、認められるのか。
(答)集合住宅の入居要件として、特定の保険医療機関の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことについては、訪問診療は通院が困難な患者に対してその状態に応じて行うものであること、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」において「居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認められる場合に行う」とされていること、保険医療機関は患者が自由に選択できるものである必要があること等から、あってはならないものである。

(問4)集合住宅の関連会社が、入居者に訪問薬剤管理指導を行う保険薬局を実質的に決定している。保険薬局が、当該関連会社から、一部負担金の患者からの徴収業務、コンサルタント業務、広告掲載業務等を委託することが求められ、委託料を支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)集合住宅に入る保険薬局を決定することができる者が、保険薬局に対して調剤に必ずしも必要ではない業務委託を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料が支払われている蓋然性が高く、基本的には、患者紹介料の支払いの禁止に該当するものと考えられる。

(問5)集合住宅に併設された診療所が、集合住宅から、診察室等を貸借し、貸借料を診療報酬の一定割合と設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)診察室等の貸借料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、診療所が支払っている貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。

また、診療所が支払っている貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。

(問6)施設から仲介業者に、歯科訪問診療を行う保険医療機関の紹介が依頼され、仲介業者が紹介した保険医療機関が入居者に歯科訪問診療を行っている。保険医療機関が、仲介業者に、歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等を委託しており、委託料を患者数に応じて設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。

(答)歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、保険医療機関が支払っている委託料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。

また、保険医療機関が支払っている委託料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。

その12 2月3日 厚労省事務連絡

疑義解釈その12の医科診療報酬点数表関係より歯科診療報酬にも係ると思われる項目を抜粋掲載します。詳細は日本歯科医師会HPでご確認ください。

【診療情報提供料】

(問5)B009 診療情報提供料(㈵)の注7に掲げる加算については、保険医療機関が別の保険医療機関等に対し、退院後の治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報その他の必要な情報を添付して紹介を行った場合に所定点数に加算することとされているが、別の保険医療機関への転院の目的で紹介した場合であっても当該加算を算定できるか。
(答)算定できる。

Q&A その1 5月9日  →疑義解釈へ

Q1:
歯科疾患管理料の管理計画書について、あらかじめ文章の備考欄に「次回から文書提供不要」を印刷したものに、患者や家族が○やチェックをすればよい様式でもよいか。日歯の文章様式の修正版はでるのか。
A1:
チェックだけでは不可。5月中を目処に現在の日歯文章様式を修正するが、それまで使用している様式の余白に、患者又は家族による「文章不要」等の意志を明記することで対応頂きたい。

Q2:
訪問診療における文章提供について、居宅で2人の場合は不要か。
A2:
文章提供が求められるのは「施設」の場合であり、居宅については不要。

Q3:
ティッシュコンディショニングと同時に歯科口腔リハビリテーション料1の1を算定する場合の病名は床下粘膜異常でよいのか。「義歯不適合」や「Dul」等の病名が必要なのか。
A3:
それぞれの病名が必要。

Q4:
ティッシュコンディショニングを行った日と同日であっても歯科口腔リハビリテ―ション料1の1は算定できるか。その場合、ティッシュコンディショニングを行った義歯に対しても算定できるか。
A4:
いずれも算定できる。

Q5:
顎関節症に対して歯科口腔リハビリテーション料2の算定と従来の咬合挙上副子の調整は同時に算定できるか。
A5:
算定できる。

Q6:
リハビリテーションの通知の通則では、リハビリテーションを実地した場合、特に定める場合を除き、実施時刻等を診療録へ記載することになっているが、歯科口腔リハビリテーション料1(1 有床義歯の場合)を算定した場合も実施時刻を記載する必要はあるか。
A6:
実地時刻の記載は必要ない。なお、歯科口腔リハビリテーション料1(2 舌接触補助床の場合)及び歯科口腔リハビリテーション料2も同様記載の必要はない。

Q7:
訪問診療料に特別対応加算を加算した場合、特掲診療料に対する50/100加算は算定できるか。
A7:
今回の整理は「診療室で算定できる加算が、より困難な在宅では算定出来ないという解釈があること」について、「診療室と同様の扱いである」として整理したもの。特掲50/100加算をする場合は通知のとおり「当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等」となる。

Q8:
義管Bが歯科口腔リハビリテーション料1に変更となったが、「修理や調整」を行った際の「同一月における歯科口腔リハビリテーション料1と新製有床義歯管理料の併算定」の取扱いは、従来どおりと考えて良いか。
A8:
基本的には通知文の変更がない扱いであり、従来の取り扱いと同様。(20年日歯Q&A参照)

Q9:
うがい薬の処方について「うがい薬のみの投薬が治療を目的としないものである場合には算定しないことを明らかにしたもの」とした上で、「治療を目的とする場合にあっては、この限りではない。なお、うがい薬とは、薬効分類上の含嗽剤をいう」との通知が追加されたが、歯科において、具体的に病名があり、それに対して従来認められていた処方を行った場合は、保険給付として認められると考えて良いか。
A9:
その通り。

Q10:
歯科疾患管理料の管理計画書に「全身疾患や患者の状態により、患者が直接記入できない場合又は家族の付き添いが無い場合」について、代行して記入することが認められたが、複数の全身疾患があったり、直接的な理由となる疾患名が不明の場合は、「手指振戦」「視力低下」等の状態を記載して、代筆をしてよいか。
A10:
差し支えない。

Q11:
歯科疾患管理料の管理計画書における「全身疾患や患者の状態により、患者が直接記入できない場合又は家族の付き添いが無い場合」の代筆について、歯科医師の指示に基づき、歯科衛生士等が記載しても差し支えないか。
A11:
差し支えないが、文章には「○○が代行記入」と明記した上で、最終的に歯科医師が確認を行うこと。

Q12:
フッ化物洗口の加算とフッ化物歯面塗布は同時に算定できるか。
A12:
算定できる。

Q13:
歯科衛生実地指導料、訪問歯科衛生指導料に関して、歯科医師は歯科衛生士への指示事項等定められた事項を診療録に記載すると共に、歯科衛生士が患者等に文章提供した場合は、その写しを業務に関する記録として診療録に添付するのか。
A13:
その通り。

Q14:
床副子「2 困難なもの」に該当しない顎関節治療装置は、歯科口腔リハビリテーション料2に該当しないとのことだが、「該当しない装置」とはどのようなものか。
A14:
歯列の一部のみをカバーする、いわゆるミニスプリント等をいう。

Q15:
広範囲顎骨支持型装置掻爬術は、自院で製作、装着したものに限るのか。また、他院で装着したものでも可とする場合、同掻爬術を算定する医療機関は、施設基準届出医療機関に限定されるか。
A15:
広範囲顎骨支持型装置掻爬術は自院で制作されたか、他医であるかは問わないが、掻爬術を算定する医療機関は、施設基準届出医療機関に限定される。

Q16:
(材料価格算定に関する留意事項の金属裏装ポンティックの[人工歯料との合計]が削除されたが)今回の改定からで金属裏装ポンティックの場合、人工歯料は算定できなくなったのか。
A16:
人工歯を使用した場合は従前どおり別途算定できる。取り扱いに変更はない。

 

その2 4月28日

Q1:
歯科衛生実地指導料、訪問歯科衛生指導料に係る提供文章の歯科衛生士の署名が、今改定では「氏名の記載」と変更になっているが、印字のみでよいのか。
A1:
印字されたものでも可。また氏名入りのスタンプや、他の歯科衛生士と区別できる押印でも可。

Q2:
歯科訪問診療2または歯科訪問診療3を算定した場合は、患者または家族または介護施設職員等に文章を提供するとある。施設で20分未満ひとりのみの場合は歯科訪問診療3を算定することになっているが、文章提供が必要か。居宅での取り扱いはどうか。
A2:
居宅では不要。施設では必要。

Q3:
歯科訪問診療1については、歯科訪問診療が20分以上(同一日に当該患者に対して複数回の歯科訪問診療を行った場合は、その合計した時間を診療に要した時間とする。以下同じ。)とあるが歯科訪問診療2についても同様に考えてよいか。
A3:
同様の取扱い。

Q4:
月に歯科訪問診療料を算定できない訪問診療を行い、4月になって前回訪問診療を行った日から1カ月以内に訪問歯科衛生指導を行った場合、訪問歯科衛生指導料は算定できるか。
A4:
算定できる。

Q5:
在宅かかりつけ歯科診療所加算に関する施設基準は「8割以上が歯科訪問診療1を算定していること」とあるが、この「歯科訪問診療1の算定」とは、居宅での歯科訪問診療1の算定のみなのか、あるいは施設や入院中の場合の歯科訪問診療1も合算するのか。
A5:
合算した数字で判断する。

Q6:
歯科口腔リハビリテーション料1の1(有床義歯の場合)と新製有床義歯管理料について、同一部位の修理・新製では同月内の併算定可であるが、別部位で修理を月初めに行い、その後、必要が生じて他部位の義歯を新製し、装着したときには、新製有床義歯管理料は認められないのか。
A6:
部位が異なる場合、歯科口腔リハビリテーション料1の1か新製有床義歯管理料のいずれかを算定する。

 

その3 6月2日

Q1:
歯科口腔リハビリテーション料1について告示の注3では、摂食機能療法(185点)を算定した日は、歯科口腔リハビリテーション料1は算定できないとあるが、下顎の義歯の調整を行っても100点、120点は算定できないということか。それとも舌接触補助床の場合の190点のみが算定できないということか。
A1:
摂食機能療法(185点)を算定した日は、歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」は算定できないが、歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」は算定できる。告示の注4に関しても同様の扱い。

Q2:
睡眠時無呼吸症候群の治療における床副子と心身医学療法についての算定要件が、「診療情報提供料の算定に基づく」から「様式に基づく」と変更されているが、情報提供元の医療機関において診療情報提供料が算定されていなくても良いということか。
A2:
情報提供元の医療機関が算定したかどうかは、紹介先の歯科医療機関では確認が難しいことから、所定の様式を満たした情報提供であれば、算定できるようにしたもの。(なお、睡眠時無呼吸症候群の患者に歯科特定疾患療養管理料を算定する場合も、同様の趣旨で取り扱って差し支えない)

Q3:
外科後処置について、改定前は、外科後処置対象の病名があったが、今回は削除され、術後の状態に対してとなったが、病名には規定されないと考えてよいか。
A3:
その通り。

Q4:
やむを得ず、手術中止となる下顎完全埋伏智歯の抜歯中断は1,050点+加算の100点が算定できるか。
A4:
算定できる。

Q5:
「Hys」病名で「遊離歯肉移植術」を算定できるか。
A5:
遊離歯肉移植術の目的に合致していれば算定できる。

Q6:
歯根端切除術(歯科CT撮影装置と手術用顕微鏡を用いた場合)において、歯科CT撮影装置でないCT装置(医科用)を用いた場合の算定ができるか。
A6:
算定できない。